2005年08月19日

4次元立方体のビジョン

度胸星 (02)

限られた数学者、科学者だけが直観できたビジョンも、いまはCGの世界で、
凡人でも、なんとなく実感できるようになっている。
あくまでなんとなくだ。

英国の数学者ヒントンが提唱した第4次元問題(縦横高さの3軸に対して
直角な次元)。
天文学者ヴァン・マーネンは、この4次元立方体のビジョンを得たといわ
れるが、それはどのようなイメージだったのか。

ちなみにアインシュタインの特殊相対性理論における4次元時空(ミンコ
フスキー時空)はx,y,zの空間3次元に、時間一次元tを加えて構成される
もの。光速度一定の原理によって、速く動いている人の方の時間がゆっ
くり進むのがよくわかるようになっている。

超次元立方体を扱ったSFコミックに『度胸星』がある。

NASAが極秘に火星へ送り込んだチームからの連絡が途絶えた。
不可思議なことが起こっているらしい。救出オペレーションに日本の
NASDAも参画し、飛行士を一般公募することになった。地球と火星は、
公転軌道上、約2年2カ月周期で近づく。救出船は、このときを狙って
打ち上げられる。

数万人の応募者の中から選ばれた訓練生たちは変わり者ばかりだった。
不可思議な人間たちだった。まず主人公の度胸はトラックの運転手で、
誰よりも遠くまで荷を運ぶ夢を持っている。普段は温厚な青年だが、
土壇場に追い込まれると、鬼と化し、超人的な根性をみせる。

女性訓練生の茶々は感覚が鋭敏すぎて、他人が煩わしい。すべての生き物
のエゴイズムを嫌悪している。そういうわけで、命のまったくない場所、
すなわち火星に行きたいという。強靱な意志力を持つヤクザの息子、恐ろ
しく要領のいい青年、中年物理学者の坂井夫婦など、それぞれのキャラク
ターが濃い。バランスの取れた優等生はいない。欠陥は多いが、何かが異
常に突出した人間たち。
NASAは直感したのかもしれない。宇宙はなんでもありなのだと。

火星の居住モジュールで救出を待つNASAの飛行士たちは、奇妙な超立方体
に虐められていた。超立方体は変幻自在で無敵である。人を飲み込んで
「裏返し」たり、衛星フォボスに瞬間移動させたりする。

超立方体からみると、われわれは平面に生きる「紙人間」にすぎない。
立体的な視点がないのである。
「人間は、いつまでも地球にへばりついていてはいけない」
新しいビジョンが必要ということかもしれない。


posted by 読書人ジョーカー at 16:44| Comment(0) | 劇画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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